亡き父の誕生日

 

今日は亡き父の誕生日で
大好きだったお菓子を供えましょ

今日は父の誕生日で生きていれば83歳
昨年の今頃は、まだ自分で歩行していた。
一年前は老いたな…と感じてたけど
まだ元気があった。
今はもう亡き父。

爺ちゃん、胃がんが見つかってね…
なんだか最近ボケてきててね…と実家の話を聞いているうち
歩けなくなりオムツになり食べられなくなり
テレビもラジオも興味がなくなり
せん妄で苦しみ暴れ出し認知症がすすみ
寝たきりに。そして入院。

すすみが早すぎ、家族は状況について行くのでいっぱいだった。
……余命告知を受け3ヶ月で
あっという間に亡き父になってしまった。
スーッと血圧が下がって苦しまずに眠るように逝ったと。


2020年10月末日。父永眠。
1年前はまだ自分で歩いて生きていた。
きのうまでは、朝までは、1時間前までは…
1分前まで生きてた人が
一瞬で亡き人になる。それは驚きだった。
自分をこの世につくってくれた人がこの世から消えた。
自分を半分亡くしたような体感が襲ってきて
勝手にすすんでいく時間に
ちょっと待ってちょっと待って…とえずいた。



直接の原因は胃がんではなく
「頭蓋底がん」(とうがいてい)
鼻の奥あたりに腫瘍ができ、脳を圧迫した。
稀有なガンで
もう手がつけられないと言われ、
本人は「もういいです」と医師の手を振り払って
精密検査もさせなかった。

ほどなくして
コロナ渦の中、療養型病院に入院になった。
救急搬送され家での介護が困難と判断された。
それっきり。亡くなるまで会えなかった。
見舞いは禁止。余命、宣告されてるのに。
ひどい世の中だ
ひどい世の中だ
ひどい世の中だ
コロナさえ無かったら
コロナさえ無かったら
コロナさえ無かったらの繰り返し。


父は臨終の時…
もう自由になりたい
早く家に帰りたい。と急いだんだろう。
そっといなくなるような死に方で
誰にも
看取らせなかった。


なあに?なによそれ。
お別れくらいさせてよね。
ありがとうくらい、言わせてよ。
むかしもんは頑固だから
そーっと逝っちゃって…。
口数の少ない父だったけど
最後も何も言わないで逝っちゃって。


それでもやっぱり
誕生日おめでとう。
亡くなってから初めての誕生日
なにが食べたいかわからないけど
さて。爺の好きだったドーナツをこさえるか。
甘いものが好きだったからね
喪中だけど、おめでとう。

もしかしたら親が死ぬことについては
自分の死を迎えるまで癒えないのかもしれないということを
悟ってしまった今日の日。
私はやっと人間になれたような気がする。